だめだ、これが恋というのなら
第三章
これが恋というのなら
麻里にホテルに誘われ、夢の国を出て、車で適当に走って、見つけた安っぽいホテルに入った。
部屋に入って、急いでことを終わらせようと俺は服を脱いでいく。
麻里も一枚、一枚、身につけていたものを脱いでいく。
露わになる麻里の白い肌を俺は抱きしめて、ベッドに押し倒した。
『司、証明して…?』
その甘ったるしい声に、俺は目を瞑り、麻里の唇にキスを落とす。
『司、誰も心の中にいれないで…?』
俺の心は俺のものであって、誰かにそんな風に強要される筋合いなんかない…
でも、アイツが心にいることを打ち消したい。
俺のキスに麻里は愛らしい声を出し、俺の愛撫に麻里はいやらしい姿を見せる。
『司…きて…?』
麻里のその言葉に、最後の一線を越えようとした。
でも、その瞬間…
麻里の顔がアイツに見えた。
いや…アイツにしか見えなかった。
『…司…?』
声は麻里なのに、顔はアイツにしか見えなくて。
俺のことが嫌いなら、笑え、そう言って、俺に笑った、アイツの顔に見えた。
『司、どうしたの…?』
俺はそれ以上、麻里に触れることが出来なかった。
『…ごめん……』
麻里に?
それとも無理矢理笑わせた、アイツに?
分からない。
でも、“ごめん”という言葉しか出てこなかった。