恋 歌 -コイ ウタ- 【短編集】
公園の周りは鬱蒼としていて中の様子は見えない。
緊張しながらも私は公園に足を踏み入れる。
少し中の方まで行くと、ベンチに座る勇心くんが見えた。
ゆっくりではあるけど近付いていく。
そんな私に気付いた勇心くんは、立ち上がり私の方に足を進める。
立ち止まり向かい合う私達。
勇心くんの顔も見れず足元に視線を落とす。
「呼び出したりしてごめんな。」
勇心くんの優しい声が聞こえ、私はブンブンと頭を振った。
「さっきの事だけど…」
『いきなり言ってごめんね。でも、私の本当の気持ちで…』
涙が溢れてきて、これ以上声に出来なかった。