恋 歌 -コイ ウタ- 【短編集】
『うん。聡子は彼氏待ってるの?』
「いや、今日はむこうも大学行ってるから待ってないで帰るよ。」
『そうなんだ。気をつけてね。』
「うん、バイバイ。」
聡子の彼氏は大学生で、よく聡子を迎えに来ている。
聡子も帰ってしまい教室には私だけ。
カバンにはいつも小説を入れてあるので、それを読みながら時間を潰す。
キーンコーンカーンコーン
読むのに集中していて、気付けばもうこんな時間。
このチャイムが最後で、残っている生徒は帰らなければいけない。
と言っても、残っているのは部活の生徒や生徒会の役員だけ。