恋 歌 -コイ ウタ- 【短編集】
私は急いでカバンに小説をしまう。
そして、教室を出る際に窓の外の雨を確認した。
下駄箱で靴にはきかえ待っていると、ゾロゾロと数人が階段を降りてきた。
私はその中からある人を捜す。
そして、その集団の2、3歩後ろを歩く人に目が止まった。
『幸成ー!』
手を振り声をかける。
私の声に気付き、その人は「またかよ」という顔をした。
私に近付き
「多恵、また傘持ってきてないの?」
呆れ気味に聞いてきた。