恋 歌 -コイ ウタ- 【短編集】
「気をつけて帰れよ。」
『うん、またね。』
振り向く事もせず、私は自分の家の方へと歩き出す。
後ろからバタンとドアの閉まる音が聞こえると、一瞬で右半身が悲しくなる。
もっと話がしたい。
もっと一緒に居たい。
恋人でもない私にはそんな事が言えなかった…。
翌日、私は傘を持って幸成なクラスに向かう。
入口に立って教室の中を見渡す。
窓側に立っている幸成をみつけた。
…と同時に、幸成の隣に女の子が居て仲良く話している姿が目に入った。