恋 歌 -コイ ウタ- 【短編集】
「ヤダ〜」とか「ユッキー、ウケる」とか女子の声が聞こえてくる。
そしてその子はその都度、幸成にボディタッチ。
幸成もすごく楽しそうに笑っていた。
『幸成ー!』
私はわざと大きな声で幸成を呼ぶ。
私に気付いた幸成は、何かその子に耳打ちをしてから私の方に向かってきた。
幸成がこっちに歩き出した瞬間、その子と目が合った。
と言うか、明らかに私を睨んでいた。
「おー、多恵。風邪ひかなかったか?」
『うん、大丈夫。はい、傘ありがとう。』
「おう。ちゃんと傘持ち歩けよ。」