恋 歌 -コイ ウタ- 【短編集】
本気で追い掛け合う2人を見て、私も思わず笑ってしまった。
「小松まで笑うなんて、ひどいよ。」
走るのをやめた勇心くんがこっちに戻ってくる。
『ごめんね。2人が本気で走ってるからつい…』
すねた顔をする勇心くんに私は申し訳なく謝る。
「だはっ。うそうそ。別にいいよ、笑ったって。」
全然気にしてなく、満面の笑みで勇心くんが私を見る。
ドキッ
とっさに下を向いてしまった私。
「小松?どうした?」
不思議そうに勇心くんは私の顔を覗き込んでくる。
『なっ…なんでもないよ。ちょっとごめんね。』
私は急いで教室を飛び出しトイレに駆け込んだ。