恋 歌 -コイ ウタ- 【短編集】
「……昨日の……」
ボソッと呟いた幸成に私は、
『えっ?』
と聞き返す。
「いや、なんでもない。」
そう言うと、クルッと私に背中を向けて自分の席へと戻ってしまった。
仕方なく私も自分の教室へと向かって歩き出す。
きっと幸成は、あの子の事を聞こうとしたんだと思う。
再び、私の頭の中では昨日よりも大きな音で警告音が鳴り響く――
それから少し経って、私達の住んでるとこも梅雨入りをした。
雨が降る日が多く、私は自分の傘を持ち歩く。