恋 歌 -コイ ウタ- 【短編集】
だから、幸成に会う事もない。
というか、会うのが怖い。
何も出来ない自分が今会いに行って、もし“変化”をみつけてしまったら…。
雨が降り続ける中、私は自分の傘をさして帰りのバスを待つ。
すると、幸成が歩いてきた。
「おー、多恵。さすがに自分の傘持ってきてるか。」
すっかりいつもの幸成。
『今日は早いんだね。』
いつもなら生徒会の仕事で遅くまで残っているのに。
「たまにはな。ってか、雨がひどくなる前に帰りたいから。」
『そっか。』