恋 歌 -コイ ウタ- 【短編集】
「猿ってかんじはしないな。」
「美形だって、看護師さんが言ってくれたよ。」
「沙羅もこっち来いよ。」
少し離れて立っていた私に、洋介が声をかけてくれた。
そっと近付き赤ちゃんの顔を覗く。
ぽわっとしていて微笑んでいるように眠っている赤ちゃん。
『可愛い。』
確かに洋介が言うように猿っぽくはなかった。
その後はお姉さんと少し談笑をして私達は病院をあとにする。
「今日は付き合ってくれてありがとな。」
『ううん。私も楽しかった。』
駅で別れて家路に着く。
洋介はただ単に何も意図せず私の事を誘ってくれたんだと思う。
けれど私はすごく嬉しかった。
お姉さんに紹介してくれた時も「唯一の友達」って言ってくれたし。