恋 歌 -コイ ウタ- 【短編集】
気付いていたとは言え、やっぱりショックだった。
何か言わないと。
重苦しい空気が漂う。
『フッ。あんたが葉月さんの事好き?相手にされるわけないじゃん。』
口をついて出てしまった言葉に、私はハッとして洋介の顔を見る。
洋介は私の顔をじっと見て、
「お前に言うんじゃなかった。」
立ち上がり屋上から出て行ってしまった。
こんな事言うつもりなんかなかったのに。
後悔してももう遅い。
私は洋介を傷つけてしまう言葉を放ってしまったんだから。
洋介が出ていった屋上の扉を眺めたまま、静かに涙を流す――