恋 歌 -コイ ウタ- 【短編集】
『いっぱいあるね。』
「だろ?もう少し暗くなってからやるぞ。」
『うん。』
夏の日は長く、もう19時になるというのに辺りはまだうっすらと明るい。
暗くなるのを待っている間、いつものようにみんなとバカ騒ぎをしていた。
ふと見ると、康弘くんはみんなから少し離れて1人海を眺めていた。
私もみんなから離れ、康弘くんの隣に腰を下ろす。
『何してるの?』
「えっ?彩奈か。メールしてた。」
『そっか。ねぇ、いつになったら番号教えてくれるの?』
そう、私は康弘くんのケータイ番号もアドレスも知らない。