恋 歌 -コイ ウタ- 【短編集】
[わたしのゆめは、よしくんとけっこんすること]
小さい頃、将来の夢は何?と聞かれ私はこう答えていた。
その気持ちは今でも変わってないけど…――
『おばちゃーん、よしくん帰ってきてる?』
勝手知ったる我が家のように、お隣りさんの家に上がり込み勢いよくリビングのドアを開ける。
「ちょっと前に帰ってきて、今飯食ってる。那波、人ん家に来るのは構わないけどもう少し静かにしろよ。」
私のお目当てのよしくんは食事中だったらしい。
「あら、ななちゃん。いらっしゃい。義隆と一緒にご飯食べる?」
私が開けたままのドアの方から声が聞こえる。
振り向くと、ほんわかとして可愛いよしくんのお母さんが立っていた。