恋 歌 -コイ ウタ- 【短編集】
でも、よしくんは私より10コも年上。
よしくんに遊んでもらった事はあまりないけど、なぜだか私はよしくんを気に入っていた。
お隣りさんとはずっと仲良くしていて、おばちゃん(よしくんのお母さん)には娘のように可愛がってもらっている。
「で、どこがわかんないんだ?」
夕飯を食べ終えたよしくんは、私が持ってきた数学の教科書をペラペラとめくり始めた。
『えっと、36ページの問2なんだけど…。』
途中まで解いたノートを見せると、
「あってんじゃん。これを元の式に代入すれば答え出るよ。ちゃんと確認しろよ。」
そう言って、よしくんは私の頭をガシガシ撫でた。