ホルガリズム
卵焼きの気まぐれ
ついさっきまで2階から見下ろしていた静かな夜は、下から見上げてみると意外にそうでもなく、バラエティ番組特有の笑い声やシャワーの音と共に聴こえる鼻歌、それから子どもの泣き声などがあちらこちらに散らばっていた。
「ね、あの大きい塔は何?」
「あれは確か発電所じゃなかったかな。赤い光のやつだろ?」
色んなところを指差しては、しきりに尋ねてくる彼女を見ていると、修学旅行に付き添うバスガイドさんはつくづく大変だなと思う。
近くの山のてっぺん辺りで、華やかに存在をアピールしている建物を見つけて彼女はまた指を差す。
「じゃあ、あのキレイな建物は?」
「・・・ホテル。」
「へぇ~!お城みた・・・いだね・・・。」
言いながら、それがビジネスホテルなどの類とは違う意味合いのホテルである事を察したようで、彼女の語尾は消え入るようなものだった。
真横を流れていく車のライトが映し出した彼女の頬が少しだけ赤くなっているのに気付いた僕は小さく吹き出してしまったけれど、幸いにも彼女には聴こえていないようだった。
「ね、あの大きい塔は何?」
「あれは確か発電所じゃなかったかな。赤い光のやつだろ?」
色んなところを指差しては、しきりに尋ねてくる彼女を見ていると、修学旅行に付き添うバスガイドさんはつくづく大変だなと思う。
近くの山のてっぺん辺りで、華やかに存在をアピールしている建物を見つけて彼女はまた指を差す。
「じゃあ、あのキレイな建物は?」
「・・・ホテル。」
「へぇ~!お城みた・・・いだね・・・。」
言いながら、それがビジネスホテルなどの類とは違う意味合いのホテルである事を察したようで、彼女の語尾は消え入るようなものだった。
真横を流れていく車のライトが映し出した彼女の頬が少しだけ赤くなっているのに気付いた僕は小さく吹き出してしまったけれど、幸いにも彼女には聴こえていないようだった。