夏服を収める頃には
二人は顔を赤くして俯いたまま無言に
なった。

そして健は淳の顔を見て右手を
差し出した。

「俺、広瀬健です。宜しく」

淳もベンチから立つと健の右手を
握った。

「私、小田島淳です。宜しく」

健はそのまま続けた。

「あのさあ、これからお互いを
下の名前で呼ぶのどうかなあ。

だめかなあ」

「賛成!それいい!

じゃあ、健君!

いや、健ちゃん!」

「ちゃんかあ・・・。

ちゃんには抵抗がある健ちゃん
だなあ」

淳は健と手を握ったまま

「健ちゃんがいいよ絶対。

健ちゃんの方がいいの!」

「淳ちゃんは強引だからなあ」

「あとね、お願いがあるんだけど」
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