夏服を収める頃には
淳は涙が出てきた。

自分が何故学校で浮いた存在であるのか
という理由を健は一切質問して
こなかったからである。

(でも、私は青山先生と同じラインに
並んだにすぎないんだ。

でも、私は負けない。

絶対に負けない。

健ちゃんの彼女は私一人だけだという
ことをいつか分からせてやる)

淳は健に涙を見せないようにして
微笑んだ。

「私の家近いからここでもういいよ」

「そう、じゃあ次に会うときは
甲子園で敵同士だけど
それまでさようなら」

「・・・」

健の馬鹿発言は淳には
理解出来なかった。
< 106 / 220 >

この作品をシェア

pagetop