夏服を収める頃には
大 人
いつものコインロッカー前で待って
いる大野に淳はスキップして近寄った。

「あれ、何?

何かいいことあった?」

大野はえくぼの淳に聞いた。

親友でもまだ健とは付き合っている
ことを言うのは恥ずかしかったので
淳は誤魔化すことにした。

「バイトの時給が十円上がったの」

「うーん、十円かあ・・・。

まあ、大きいわね、確かに」

「でしょう」

「そんなことよりさあ、淳。

昨日、見たの私」

淳は焦った。

どこかで健とのデートを
見られたのかもしれないと
思ったのだ。

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