夏服を収める頃には
「先月出来たファッションビル
知ってるでしょ」

「うん。『アズテック』でしょ」

「そう。そこに服を見に行ったの。

私、ひ・と・り・で!」

淳は両手を合わして頭を下げた。

大野は怒った真似をして続けた。

「で、五階を歩いていて、
ランジェリーショップの前を
通り過ぎたら、なんと
青山先生が中にいたの!」

大げさに話す大野に
表情を変えずに淳は言った。

「下着買ってたんでしょ。

普通でしょ」

大野は目を見開いて反論した。
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