夏服を収める頃には
自己嫌悪
翌朝、登校すると健はいつもなら教室
の前から入るが、後ろのドアから教室
に無言で入り、席に着いた。

女子生徒が挨拶していたが、健は返事
をしなかった。

席に着いていた竹内が口を開いた。

「おい、挨拶をしろよ、転校生
健ちゃん。

無言で入ってくるなんて健ちゃん
らしくない。

はい、もう一回廊下に出てやり直し」

健はここで今朝考えた言い訳で
返した。

「ごめん。昨日、親父とけんか
してさ。いらついて何にも話す気分
じゃないんだよ」

「そうかあ、あるよなあ。

馬鹿親にむかつくこと言われるの。

なら、しょうがないな」
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