夏服を収める頃には
二人はスーパーマーケットに入った。

淳はカートを押す健を見た。

「健ちゃん、お昼何食べたい?

私、作ってあげるね」

「焼きそば食べたい」

健が普通に答えたので淳は笑顔で
返事をした。

「おいしいの作るね」

健はおもしろい返答が出来ない自分
がちょっと情けなかった。

二人は一軒家の広瀬邸に着くと、
健はエアコンのスイッチをつけて
冷蔵庫からコーラを出すと、
淳と自分の分のコップに注いだ。

淳が遠慮がちに中に入って来た。

「おじゃましまーす。

わあ、男の子の家に入るの初めて、私」

「ごめんねえ、汚くて。

先週一家心中あったばっかりの家でさー、
ここ。

なんか出るんだよ、夜中に」

「ちょっと、止めて、そういう話するの。

嘘でしょ」
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