夏服を収める頃には
淳の目がさっきまでの目とは違い、
『女』の目のつきになっていることに
健は気が付いた。

『コワルスキー』の曲が大音量で
流れる中で、二人は押し黙ったまま
なので、健はここで何かを言わなけれ
ばならないだろうと考えた時に、
淳から健に歩み寄って
またキスをした。

淳は健の後ろに手を回すと健の頭、
首筋、背中と手を移動させていった。

健への思いが淳を行動的にさせた。

自分のキスで健が喜んでいることは
健の目を見ればはっきりと分かった。

淳はファーストキスの恥ずかしさが
徐々に消えてうれしさの気持ちが
上回ってきた。

長い長い二度目のキスを終えると、
また二人は無言になった。

健はCDを止めて、淳を見た。

健よりも先に淳が口を開いた。
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