夏服を収める頃には
年 下
木曜日の放課後、健が亜子の部屋の前
に着くと後ろから声を掛けられた。

エレーベーターを降りた亜子が走って
来たのだ。

「今週は私のほうが遅くなったね、
ごめんね。

さあ入って」

「はい」

亜子は部屋に入るとテーブルの上に
バッグを放り投げた。

中からポーチと携帯電話が飛び出した。

エアコンのスイッチを入れると亜子は
ジャケットを脱いだ。

健はソファに座ると横に亜子が座った。

(落ち着け。

今日は別れを言いに来たんだ。

落ち着け)

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