夏服を収める頃には
「なんでもいいんですよね、それ?」

「はい。まああんまり真面目なものは
遠慮してもらって、娯楽的要素のある
ものなら、なんでもいいですけど。

広瀬君、出ますか?」

「出ません」

頬杖をついていた竹内がこけた。

「出ねーのかよ、そこまで聞いて」

健はそれを無視して

「出ます。

やる演目は・・・『コント』です」

「一人でやりますか?

竹内君と一緒ですか?」

「俺、やんねーよ!」

竹内が即答した横で健が返事をした。

「僕一人でやります」

「漫談じゃねーか、それじゃあ」

竹内の言葉に健は答えなかった。
委員長は健の名前をノートに書いた。

「では、『なんでも腕自慢』の出場は
六組からは広瀬君になりました」

クラスメートは健に拍手を送ったが、
淳は健から全く何も聞かされて
いなかったので少し複雑な表情で
見つめていた。
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