夏服を収める頃には
ラックの上の固定電話がコールした。

健は亜子を呼ぼうとしてドアの隙間
から亜子の後姿を見ると、配達の男性
と世間話をしているように見えたので
そのままにしておくことにした。

三回コールすると留守電に変わり、
相手先の声がスピーカーから聞こえてきた。

「亜子ちゃん。

俺です。義彦です」

電話の声は淳に事実無根の噂を流した
野球部の松本義彦だった。

健の体に衝撃が走った。

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