夏服を収める頃には
亜子は涙を拭ってから立ち上がると、
鏡を見て微笑んだ。

寝室へ行きチェストから黒の
ランジェリーを出して、
その柔らかい柔軟剤の香りをかいだ。

「義彦君の好きな黒で、出迎えようっと」

亜子は鼻歌を歌いながら、ブラウスの
ボタンに手をかけた。

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