夏服を収める頃には
「ありがとう。

なんかさあ、今日ずっと一人で席にいて
誰とも話していなかったから。

なんか気になってさあ」

転校生に優しく接してくれるクラスの
生徒達であったが、
たった一人で誰とも話さないで学校生活
を送る女子には何も出来ない状況には
健は少し心苦しかった。

(今は先に自分がクラスになれる時
であって他人を助ける余裕はないのでは
ないだろうか?

嫌、どこかに彼女を救える何かが
あるのかもしれない)

「あれっ、ひょっとして小田島さんのこと
を転校初日でラブ状態になった?」

「違うよ、そんなんじゃないよ。

なんかさびしそうだったし、ずっと一人
だから気になってさ」

竹内はそれに同意するように頷いた。

「俺達もたまに気を使って話しかけるけどさ。

ちょっぴりしか返事が返ってこなくてさ。

まあ、しょうがないよ、これは。

それよりさあ、
アイドルで誰好き?俺さあ・・・」

竹内の目が輝いて見えた。

健は適当に相槌を打ちながら、
淳のことを考えていた。
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