夏服を収める頃には
「許してくれるの?

こんな俺でいいの?

俺は裏切ったんだよ、淳ちゃんを」

「許すも何も、私、健ちゃんが好きだもん。

健ちゃんが私を好きな気持ち以上に
私は健ちゃんが好き。

優しいとこも、変なこと言って
笑わせてくれるとこも、全部」

健は涙がまた流れ落ちて、ベンチに
落ちた。

健はそれから淳を見つめた。

「ありがとう、ありがとう」

淳はベンチから立ち上がると、
右手を健に差し出した。

「私、小田島淳です。

宜しく」

健も立ち上がると淳の右手を
握った。

「俺、広瀬健です。

宜しく」

< 177 / 220 >

この作品をシェア

pagetop