夏服を収める頃には
九月一日の今日、朝から街は既に三十度を
越えていた。

健の横を次々と通勤、通学する人々に
追い抜かれながら重い足を引きずって
県立青葉高校を目指した。

暑さと嫌気で汗が大量に流れていた。

「やっぱり学校行くの明日からに
すっかなあ」

健は十代の頃なら誰でもなる突発性
登校拒否症候群になる寸前に超ミニ
スカートの女子高校生の集団が
横切った。

「行こう!今日行かなくて
何時行くんだ」

健の瞳は燃えていた。木造平屋築
五十年の一軒家にタンクローリー
が突っ込んだよりも燃えていた。

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