夏服を収める頃には
六組の生徒が一斉にこけると、一番後
に座っていた三年の男子数名も一緒に
大げさにこけてくれた。

この後、斉藤先生とクラスの嘘エピソード
を続けて、
『それでもこんな明るく元気一杯の六組
のみんなの笑顔には一番驚かされます』
というオチで終わる台本で練習をしていた
が、健は台本を閉じると生徒達を
見渡した。

「やはり一番驚いたことは僕のような
へたれを明るく迎えてくれた六組のみんな
の存在です。

普通なら、転校生が来たら最初はある
程度の距離をを置いて接するはずですが、
六組のみんなは最初から僕がクラスに
いたかのように話し、そして聞いて
くれました」



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