夏服を収める頃には
健の発言により異変が起きていた。

淳の前と横に座っていた女子が泣いて
いたのだ。

女子達は涙を流しながら淳に顔を向けると
口々に言った。

「淳ちゃん、ごめんね」

「小田島さん、今までごめんね」

「淳、本当にごめんね」

淳は大粒の涙が流れるのを
堪えなかった。

涙がジャージの上着に落ちた。

横の女子が淳の手を握り、頭を下げて
謝った。

淳は泣きながら首を横に振った。

「ううん、いいの。もう、いいの」

六組の生徒達全員が泣いていた。

その姿にさらに大きな拍手が体育館を
覆った。

担任の斉藤も涙を拭っていた。

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