夏服を収める頃には
開 始
「モーニン」

健がおもしろくない挨拶をして教室に
入ると淳の席の周りに五人女子が集まって
談笑していた。

本当にみんな淳と打ち解けたことを知ると
健はうれしくなり自然と笑顔になった。

席につくと竹内が話しかけてきた。

「来たな、転校生健ちゃん」

健は不思議そうな顔で竹内を見た。

「あれっ、竹内まだ学校にいるの?

昨日、みんなの前でお別れの挨拶
しなかったっけ?」

「しねーよ。

あれから、俺に会う奴会う奴全員、
『向こう行っても頑張れ』
とか言いやがるんだよ。

『向こう』ってどこだよ。

全く健ちゃん、勘弁してくれよ」

健は笑いながら聞いていた。
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