夏服を収める頃には
「広瀬君、ちょっと」

「はい?僕ですか?」

手招きするので、健は鞄を机の上に置いた
まま廊下に出た。

上級生が二年の教室の前にいるので他の
生徒達が遠巻きに二人を見ていた。

「広瀬君、私、坂本麻衣っていうの。

文化祭の広瀬君のトーク気に入っちゃった。

私と付き合わない?いいでしょ?」

以前に竹内が三年の女子でベストスリー
に入るルックスの持ち主と言っていた
ことを健は思い出した。

ショートのヘアスタイルで前髪を気に
しながら坂本は健を見つめた。

健はなんと言って断っていいか考えていた。
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