夏服を収める頃には
「先輩、ごめんなさい。

私、小田島淳は広瀬健ちゃんの彼女
なんです。

だから今日も明日も来週も一緒に
帰るんです。

お先に失礼しまーす」

淳は健の手を掴むと走り出した。

六組前の廊下に一瞬沈黙が訪れた後、
廊下に出てきた竹内が呟いた。

「やっぱり、そうだよね」

廊下の女子達がざわつき始めた。

「わーん、私、広瀬君好きに
なったのにー。取られたー」

「私もー。健ちゃん狙ってたのにー」

坂本は力なくうな垂れて帰っていった。
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