夏服を収める頃には
指 令
淳は昼食を終えると唯一の友達である
二組の大野美千代を廊下から呼んだ。

大野は笑顔で答えた。

「何?淳」

「ちょっと、いいから」

淳は体育館まで大野を無言で
連れてくると、
顔の前で両手を合わせた。

大野は目を細めて淳を見た。

「あっ、なんか嫌な予感が
するんだけど・・・」

「みっちゃん、お願い。

本当に、本当のお願いがあるんだけど」

「とりあえず聞いてから
判断する。何?」

淳は合わせていた両手を外すと
急にもじもじし始め、顔も
赤らんできた。

「何?どういうこと?」
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