夏服を収める頃には
淳は再びCDショップへ行くとまず
視聴コーナー、そして新譜コーナー
へと健の姿を追った。

CDショップのフロアを出て、通路の
左右を確認するとようやく健の後姿を
見つけることが出来た。

淳は笑顔を取り戻すと走り出した。

大声で健の名前を叫びだしたい程で
あった。

笑顔で振り向く健の姿が淳の脳裏に
浮かんだ。

そしてようやく追いつく、と思った
瞬間だった。

健の右横に歩いている若い女性が
左右を確認すると、
健の右手を握ったのだ。

その女性の横顔に淳は驚いた。

「青山先生?」

淳の胸を巨大な何かに締め付けられる
感覚にとらわれた。
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