夏服を収める頃には
「今から恋人同士なんだから、
私を『先生』と呼ばないこと。

『亜子』って呼んで。

決ーまり!」

「ええ?!」

小学生のような幼稚な言動に
健は驚いた。

異性と手をつなぐのは小学生の時に
フォークダンスを踊って以来だったが
亜子の小さく柔らかい手から
大人の女性の魅力が出ていること
だけは確かに分かった。

健は緊張の為、手が汗ばんできた。

(なんで青山先生は俺と手を
繋ぎたいのだろうか?

誰かに見られたら、
どう説明すれないいんだ)

そして何よりも健は亜子の笑顔が
自分の心をゆっくりと握り締めて
いくことに動揺していた。
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