夏服を収める頃には
亜子は上機嫌だった。

テストの結果はそれ程悪くはなかった
竹内にネットで見つけた英語の問題集
をそのままコピーして作ったテストを
竹内にさせて居残りをさせて、健を
一人で帰した。

そしてゆっくりと健の後をつけて
周囲に学校関係者がいないことを確認
してから声をかければ作戦は
完了だった。

手をつないだだけで戸惑う健の横顔が
かわいくてしかたなかった。

(この子を選んで正解だった。

十六歳の真面目な男の子と
付き合えるなんて最高に幸せだ)

「この後、予定あるの?」

健は手を離そうとしたが
亜子が離さない為に二人は
下りのエスカレーターに
手を繋いだまま乗った。
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