夏服を収める頃には
健と亜子はタクシーから降りると
やはり亜子から手を伸ばして再び手を
繋ぐとマンションの入り口に消えた。

淳はリアウィンドウからその様子を
見ると絶望的な気分になった。

二人は兄弟のようにも見えたが、
その二人がこれから部屋で何を
するのかを想像してしまった
からである。

運転手はバックミラーで健と亜子の
姿を確認してからルームミラー越しに
淳に言った。
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