夏服を収める頃には
「お客さん。

こんなこと言うとまた怒るかも
しれないけどさ。

ここから見て数秒間の感想だけど、
どう見てもお客さんの弟さんは相手の
女性に無理やり連れてこられたように
しか見えないんだけど。

女の方はすごくうれしいオーラが
出ていたけど、弟さんの方は、なんか
戸惑っていたように見えたなあ。

弟さん、騙されてんじゃないの」

淳の考えを代弁してくれるかのような
運転手を淳はルームミラー越しに見た。

「すいません。駅に戻ってください」

「あれっ、いいの?

部屋に乗り込まなくても」

「これからどうするか考えます」

「そう。じゃあ、戻るよ」

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