夏服を収める頃には
タクシーのウィンドウ越しに夏の
暑い日差しがさしていたが
淳の心は冷たいままだった。

(広瀬君は、青山先生を選んだんだ。

拒めばいくらでも拒否出来た筈なのに、
一緒に手を繋いでタクシーに乗り、
青山先生の部屋に行くなんて。

二人が付き合っていたなんて。

青山先生も嫌いだけど、
広瀬君はもっと嫌い!

不潔だ!)

日差しを手で覆うと淳は
涙をこぼした。

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