夏服を収める頃には
相 談
「おはよう、淳。

昨日はどうだった?

広瀬君と会えたの?

あれっ、すごい目の下にくま
出来てるよ」

大野がいつものコインロッカー前で
淳に話しかけた。

「それがさあ、駅ビルで
探し損ねちゃったんだ。

それで、くやしくて一睡も
出来なくてね」

昨日はアルバイトが二時間遅刻で
スタートして店長に怒られて、
家に帰ってもショックで一切食事は
のどを通らずさらに一睡も出来ずに
朝を迎えた淳は、どうしていいのか
分からなかった。

健のことはやはり大好きだが亜子の
部屋に行った事実をどう考えたら
いいのだろうか。

タクシーの運転手も言っていたが
彼の心に亜子への積極性は
見られなかったということも気になった。

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