夏服を収める頃には
積極的で魅力的な大人の女性が
男性を部屋に誘ったということは、
考えたくもないようなことを
二人は既にしてしまったのかもしれない
ということも想像していた。

この状態で自分は健の彼女になるなんて
可能なのだろうかという凄まじい不安。

いくつものことが重なって淳は一睡も
出来なかったのであった。

淳は、今朝考えた質問を大野に言った。

「昨日の深夜のラジオでお悩み相談を
やっていたの。

それがちょっと気になってね。

でも途中でテレビ見ちゃって、その
パーソナリティーの回答を
聞き逃しちゃってね」

「うわあ、どじっ子淳ちゃん!」

登校する二人の横をサラリーマンが
急ぎ足で通り過ぎた。

淳は声を潜めた。

< 77 / 220 >

この作品をシェア

pagetop