夏服を収める頃には
「言うと思った。

もし、どうしても彼を諦められない。

本当に好きっていう状態ならば、その
OLと戦うことね。

既に彼はOLとエイチな関係を持って
いるかもしれないでしょ」

大野は『エッチ』と言わずに必ず
『エイチ』と発音した。

「だって授業で『エイチ』って
習ったでしょ」

が大野の持論だった。

大野は続けた。

「彼は既にエイチな体験をしたかも
しれない。

ならば、その彼女は高校生らしい
初々しい関係を持つことによって
そのOLばばあに勝てるんじゃない
かなあ。

若さって今しか持てない最大の武器
だと思うけどなあ。

なんて偉そうなことを
言ったりしてね」

「さすが美千代ね。

恋と性に係わることだと
目がいきいきしてるね」

「どういう意味よ」
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