夏服を収める頃には
憎 悪
英語の授業になり、教室に亜子が
現れると健は亜子と一切目を合わせる
ことが出来なかった。

亜子は前に生徒を出して
黒板の問題を回答させた。

「はい、みんな良く出来ました。

続いては教科書を読んでもらいます。

じゃあ誰に読んでもらおうかなあ。

では、昨日居残りテストが高得点
だった竹内君。

はい、読んで」

竹内はにっこり微笑んでから教科書を
持ち立ち上がった。

亜子は淳の横を通ってゆっくりと教室
の中を教科書に目を
通しながら歩いた。

竹内はつっかえながら音読を
進めていった。

淳は激しい憎しみの表情が出るのを
押さえながら、亜子を見つめた。

亜子が自分の後ろへ行ったので、
手鏡を出して、亜子の後姿を追った。

亜子が淳のそばを通る時に
なんらかの会話をするのでは
ないかと思ったからだ。

そして亜子が健の後ろを
通り過ぎた時だった。

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