夏服を収める頃には
「ああ、広瀬君」

健は淳の声を始めて聞いた。

かわいらしい声だった。

『何の用事?』って聞くことは
あまりにも失礼だったので出来ずに
健は先にこの前のことを
謝ることにした。

「小田島さん、この前はごめんね。

急に訳分かんないこと言って
混乱させて」

淳は慌てて返事をした。

「いいえ、違うの、違うの。

私が焦って返事が出来なかったの。

私が悪いの。ごめんなさい。

私、広瀬君の言うとおりに
『コワルスキー』のサラが大好きで
ヘアースタイルを真似たの」

「わあ、やっぱりだ。俺も
『コワルスキー』のファンでさあ。

サラってかわいいよねえ。

それに似てる小田島さんって、
すごいね」

淳は健に褒められて顔が
熱くなった。
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