夏服を収める頃には
自分はやはり健のことが好きなんだと
改めて淳は感じた瞬間だった。

健は勇気を出して続けた。

「ショップで『UKナイト』の
フライヤーを見つけたんだけど、
一緒に行く人いなくてさ。

それで相談なんですけど、
一緒に行ったり行かなかったりして
くれないでしょうかと尋ねても
いいでしょうか?」

淳は健が自分が望んでいることを
言ってくれてうれしかったが
トーンを下げて答えた。

「私もそのフライヤーを見て、
親に『行ってもいいか』って聞いたら
夜遅いから反対されたんです」

健が瞬間的に考えたベストの作戦が
あっさりと失敗してしまった。

二人の間に沈黙が流れていたので
健が焦って次の言葉を捜していると
淳が先に話し出した。


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