夏服を収める頃には
(淳ちゃんだ。淳ちゃんが一番
かわいい。

かわいすぎる)

淳が健の視線を感じた。

「あっ、今広瀬君なんか変な目で
見てたでしょ。

何考えてたの、言って」

健は観念したかのように答えた。

「あれ、ばれたか。

実はさあ、こんなことをしていても
あと七十年もすれば土に返るんだなあ
って思ったら、空しくなってさ」

淳が笑いそうになって食べ物を
詰まらせると、健は急いでコップの
ウーロン茶を渡した。

淳はウーロン茶を一気に飲み干すと
肩で息をしてから

「もう変なこと言わないで、
あやうく噴出すとこだったでしょ」
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