夏服を収める頃には
健は淳の持っているコップを見つめ
ながら言った。

「小田島さん、今飲んだ
ウーロン茶、俺の」

「えー?」

「うわあ、間接的な触れ合いを
強制的にしてしまうとは。

怖い女性だ、小田島さんは」

「貴方が渡したんでしょ!」

二人はそこで笑った。

淳は楽しくて仕方なかった。

音楽の会話も盛り上がるし、
通常の会話も笑わせてくれるし、
いたずら好きも男の子っぽくて、
好きだった。

でもまだ単なるクラスメートなだけ
なので、遠慮があるのが
つらかった。

淳は健が自分をどう思っているのか
知りたかったが
勿論それを確かめる勇気はなかった。

< 92 / 220 >

この作品をシェア

pagetop