夏服を収める頃には
月曜日に会えるが、人前で健と話す
勇気がない淳は悲しかった。

(来週、また健君、
会ってくれるかなあ)

悲しくて俯いていると携帯にメールが
届いた。

見ると健からだった。

電車に乗る前に送ったのかと思い、
淳はメールを読んだ。

『件名=隣の紳士に。

本文=イエスと答えましょう』

「何、これ?」

と淳が横を見ると健がいつの間にか
立っていた。

「良かったら、明日も
どっかに行きませんか」

淳は驚きと喜びで涙目になりながら
答えた。

「イエスです」

「じゃあ、本当に帰るね」

健はそれだけ言うと敬礼をしてから
後ろの階段を駆け上っていった。

淳は完全に健の虜になってしまったが
やはり自分から告白する勇気は
なかった。
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